硬いパンが好きだ。膨らみが少なく、ずっしりと重量があるパン。
ただ、地元の商店街にはなかなか、ないのだ。
多くの日本人が、ふんわり食パン、アンパンなど包み込むような優しいパンに馴染んできたからだろう。
仕方がないので、銀座の百貨店や表参道などオシャレな街に出かけるついでに、冷凍する分もふくめて、ハードパンをたくさん買っておく。
自粛2週目のある日、「パンはテイクアウトするもの」と思い込んでいた私に、朗報が。
仲良しのヘアメイクさんが沖縄・北仲城から“硬いパン”を取り寄せたという。
そこは、野菜や果物の天然酵母を使って石窯で焼き上げるパン屋「石窯パン ときはや」さん。昨秋に訪問してから再訪を焦がれていた、パン屋だ。
少々わかりずらい場所にある一軒家。
店内はアンティーク家具で統一された素朴な空間。
サンドイッチ、コーヒーをゆっくり楽しめるスペースもある。
旅のひと時をのんびり過ごそう。
品切れもあるので午前中がおすすめ。
名物のピーナツバターも、旬の果物のジャムもあったら即買い必至。
(毎日手作りで数が限られているから。)
えええ沖縄から?!注文していいの?送料は?届くまでに時間は?
という一気に浮かぶ不安材料を打ち消して、即座に店主・常盤(ときわ)さんにメールする。
すると、最速で焼いて送ってくれる、という。
しかも、コロナ自粛応援という名目で(もちろんこの時期の限定だが)、送料込みのセット価格3千円で。なんと心温まる話。
常盤さんは、沖縄の天然酵母パンで有名な人気店「宗像堂」で修業をした方。そのこだわりはもちろん、心意気がかっこいい。コロナも痛みを皆でわけあって乗り越えようという気概。どう考えても、購入金額と送料だけになるだろうという価格でおそらく儲けはないだろう。
そんなありがたい話を聞いたなら注文せずにはいられない。
パンの内容はお任せし、待つこと約1週間。
硬くてずっしりとしたパンと、手作りのピーナッツバター、日向夏のジャムも一緒に届く。
ライ麦クランベリーアーモンド(ライ麦60%)、バケット、ベーグル、黒糖くるみ、カンパーニュ(沖縄県産レモン&レーズン入り)、ピーナツバター(ピーナツ、オリーブオイル、砂糖、塩)、日向夏ジャム(日向夏、砂糖)
届いた箱をあけるなり香りがたつ。
そして、小麦の味がしっかりする。膨らみが少なく、どっしりと硬い。
名物カンパーニュには、県産レモンとレーズンが効いている。
ベーグルも黒糖くるみパンも甘さほんのり。どれも、個性とやさしさがあふれる。
軽く焼いてオリーブオイルをつけてもよし。
ハードパンが極上のごちそうになる。
ピーナツバターも手作りのシンプルな素材だけなので、塗るというより、たっぷりのせて食べる感覚。
日向夏ジャムは、焼いてバターを塗ったパンにのせると酸味とコクと甘さのバランスが絶妙な味わいになる。
「石窯パン ときはや」さん。ありがとう。
これが落ち着いたら必ず訪問する、そして御礼を言う、と心に決めている。
これからはパンだって、お取り寄せの時代だ。
<石窯パン ときはや>※通販は冬季のみ、とのこと。
https://www.facebook.com/石窯パン処–ときはや-tokiwaya-bakery-586996254817653/
文・手前田味噌子
できることなら、“おうち時間を楽園に”したい。そしてどんな状況でも、ご機嫌に暮らしていきたい。なので、酒の肴になりそうなアイテムをネットであさっています。日々の中、心温まる情報を。そして、配達員さんには感謝の気持ちを忘れずに。